Google Cloud Functions + Rubyでapplication/x-www-form-urlencodedのメール送信ステータスWebhookを処理する

Customers Mail CloudのWebhookは2種類あります。

  1. メール受信時
  2. メール送信時

メール送信時は、送信したメールに対してステータスが変わったタイミングで通知が送られるものです。

その際、 application/json を指定しない設定ができます。この時のデータがどうなっているのか紹介します。

<!—more—>

Google Cloud Functionsの準備

今回はローカルで開発する流れを紹介します。まず、適当なフォルダを作成します。今回はcmcとします。

mkdir cmc
cd cmc

そして Gemfile というファイルを作成し、以下のように記述します。

# frozen_string_literal: true

source "https://rubygems.org"

# gem "rails"
gem "functions_framework"

そしてライブラリをインストールします。

bundle install

次に app.rb というファイルを作成します。以下は空の内容ですが、後で処理を記述します。

#== app.rb ==#

require "functions_framework"
require "json"

FunctionsFramework.http "cmc" do |req|
  # この中に処理を記述します
  "Hello, Customers Mail Cloud!"
end

そして、以下のようにコマンドを実行します。

bundle exec functions-framework-ruby --source=app.rb --target=cmc

これで http://localhost:8080 でサーバーが立ち上がります。

受け取るWebhookの設定

管理画面にて、受け取るWebhookを設定できます。設定は以下が用意されています。

  • Bounces
    • bounced(エラーメールを受け取る)
  • Deliveries
    • queued(キューに入ったタイミング)
    • succeeded(送信完了)
    • failed(送信失敗)
    • deferred(送信延期)

この中で application/json を指定できます。指定しなかった場合、データは application/x-www-form-urlencoded にて送信されます。本記事ではこの場合を想定しています。

送信されてくるデータについて

メール送信した直後

メール送信を行うと、そのデータがキューに入ります。そして、以下のようなWebhookが送られてきます(データは一部マスキングしています)。データは分かりやすいようにJSONにしていますが、実際には異なりますので注意してください。

{
    "event_type": "deliveries",
    "server_composition": "pro",
    "event": '{"deliveries":[{"reason":"","sourceIp":"100.100.100.1","returnPath":"info@return.pro.smtps.jp","created":"2023-01-25 14:03:06","subject":"メールマガジンのテスト","apiData":"","messageId":"<031a32d4-06cd-b1ae-9526-011c0b9f1296@example.com>","from":"info@example.com","to":"user@example.jp","senderIp":"","status":"queued"}]}'
}

メール送信完了時

Customers Mail Cloudからメール送信処理が行われると、ステータスが succeeded になったWebhookが送られてきます。

{
    "event_type": "deliveries",
    "server_composition": "pro",
    "event": '{"deliveries":[{"reason":"","sourceIp":"","returnPath":"info@return.pro.smtps.jp","created":"2023-01-25 14:03:09","subject":"メールマガジンのテスト","apiData":"","messageId":"<031a32d4-06cd-b1ae-9526-011c0b9f1296@example.com>","from":"info@example.com","to":"user@example.jp","senderIp":"100.100.100.3","status":"succeeded"}]}'
}

メール送信失敗時(メールアドレス形式に問題がある場合)

メールアドレスの形式に問題があるなど、送信処理が失敗した場合には以下のようなWebhookが送られてきます。

{
    "event_type": "bounces",
    "server_composition": "pro",
    "event": '{"bounces":[{"reason":"host unknown","returnPath":"info@return.pro.smtps.jp","created":"2023-01-25 14:05:15","subject":"メールマガジンのテスト","apiData":"","messageId":"<8f902ee7-ae65-8711-48a8-2f708cb14205@example.com>","from":"info@example.com","to":"user@example","status":"1"}]}'
}

メール送信失敗時(送信先サーバーからエラーが返ってくる場合)

ユーザーが存在しない、メールボックスがいっぱいなど送信先サーバーからエラーが返ってきた場合には、以下のようなJSONが返ってきます。

{
    "event_type": "deliveries",
    "server_composition": "pro",
    "event": '{"deliveries":[{"reason":"550 5.1.1 The email account that you tried to reach does not exist. Please try 5.1.1 double-checking the recipient's email address for typos or 5.1.1 unnecessary spaces. Learn more at 5.1.1  <https://support.google.com/mail/?p=NoSuchUser> b197-20020a621bce000000b0058b80756b07si311029pfb.3 - gsmtp (in reply to RCPT TO)","sourceIp":"","returnPath":"info@return.pro.smtps.jp","created":"2023-01-25 14:06:06","subject":"メールマガジンのテスト","apiData":"","messageId":"<9e7e564c-ac83-8cd8-2cb4-b9ff2a9f168d@example.com>","from":"info@example.com","to":"no-user@example.jp","senderIp":"100.100.100.3","status":"failed"}]}'
}

エラーとしてのWebhookも送られてきます。上記のものと event_type が異なるので注意してください。

{
    "event_type": "bounces",
    "server_composition": "pro",
    "event": '{"bounces":[{"reason":"550 5.1.1 The email account that you tried to reach does not exist. Please try 5.1.1 double-checking the recipient's email address for typos or 5.1.1 unnecessary spaces. Learn more at 5.1.1  <https://support.google.com/mail/?p=NoSuchUser> b197-20020a621bce000000b0058b80756b07si311029pfb.3 - gsmtp (in reply to RCPT TO)","returnPath":"info@return.pro.smtps.jp","created":"2023-01-25 14:06:07","subject":"メールマガジンのテスト","apiData":"","messageId":"<9e7e564c-ac83-8cd8-2cb4-b9ff2a9f168d@example.com>","from":"info@example.com","to":"no-user@example.jp","status":"2"}]}'
}

Rubyのコード

処理は app.rbFunctionsFramework.http ブロック内に記述します。

FunctionsFramework.http "cmc" do |req|
  # この中に処理を記述します
  "Hello, Customers Mail Cloud!"
end

送られてくるデータは req.params で受け取れます。 req.params[キー] でアクセスできますが、 event キー以下は文字列になっています。そのため、追加で JSON.parse を行って、オブジェクトにします。

puts req.params["event_type"]
event = JSON.parse(req.params['event'])

これで event 内にあるデータに対してアクセスできます。

status = event["bounces"] || event["deliveries"]

まとめ

Webhookを使うことで、メール送信ステータスの変化に応じて通知を受け取れるようになります。メールと連携したシステムを開発する際に役立つでしょう。

Rubyの場合は application/json を指定した方が全体として、受け取りやすい印象です。ぜひお試しください。なお、このWebhookはSMTP経由の場合、利用できます。