Googleが新しく提唱しているのがAMP for Emailです。AMPは元々Accelerated Mobile Pagesという名前が指し示す通り、モバイル向けのWebサイトを高速表示する技術でした。しかしAMPページがWeb検索結果において優遇されるなどもあって、盛んに取り組まれるようになっています(優遇表示は間もなく終わるようですが)。
そしてAMPの特別なHTML表示をメールにも活かすのがAMP for Emailです。現在はGmailなど限られたメールクライアントだけが対応していますが、HTMLメールをよりインタラクティブする仕組みになります。
今回はこのAMP for Emailと従来のHTMLメールの違いについて紹介します。
メールソースの違い
まず根本的に違うのはメールのソースです。通常のHTMLメールは次のようにBASE64エンコーディングされています。
Content-Type: multipart/alternative; boundary="PQ3Tg0xAkElZUGf1RaVd9eJ1iCsV15bT" --PQ3Tg0xAkElZUGf1RaVd9eJ1iCsV15bT Content-Type: text/plain; charset=UTF-8 Content-Transfer-Encoding: base64 44OG44Kt44K544OI55SoDQo= --PQ3Tg0xAkElZUGf1RaVd9eJ1iCsV15bT Content-Type: text/html; charset=UTF-8 Content-Transfer-Encoding: base64 PCFkb2N0eXBlIGh0bWw+ : --PQ3Tg0xAkElZUGf1RaVd9eJ1iCsV15bT--
それに対してAMP for Emailはエンコーディングされておらず、HTMLがそのまま記述されています。
Content-Type: multipart/alternative; boundary="0000000000008cbec205c2bf25b4" --0000000000008cbec205c2bf25b4 Content-Type: text/plain; charset="UTF-8" This is the plain text content. To see dynamic emails sent from amp@gmail.dev in Gmail, whitelist amp@gmail.dev in Gmail Settings > General > Dynamic email > Developer settings. --0000000000008cbec205c2bf25b4 Content-Type: text/x-amp-html; charset="UTF-8" Content-Transfer-Encoding: quoted-printable <!doctype html> <html =E2=9A=A14email data-css-strict> <head> <meta charset=3D"utf-8"> <script async src=3D"https://cdn.ampproject.org/v0.js"></script> <script async custom-element=3D"amp-form" src=3D"https://cdn.ampproject.o= rg/v0/amp-form-0.1.js"></script> : </body> </html> --0000000000008cbec205c2bf25b4 :
特にContent-Typeが text/x-amp-html になっているのが特徴的です。
HTMLメールの中でインタラクティブなコンテンツを提供できる
AMP for Emailの中では、従来のHTMLメールではできなかったインタラクティブなコンテンツを提供できるようになります。例えば次のような機能が挙げられます。
- フォーム送信
- カルーセル
- アコーディオン
- 選択
従来のHTMLメールは見栄えを整えることはできましたが、ダイナミックに変化するコンテンツは提供できませんでした。AMP for Emailによって、ユーザはWebページを訪れることなく検索を実行したり、情報入力が可能になります。
AMP for EmailはAMPHTMLのサブセットです
AMP for Emailで実現できることはAMPHTMLでできていたことの一部になります。HTMLメールは相手のメールボックスに届き、その上で動作するものになるため、プライバシーやセキュリティ制限が厳しくなります。そのためAMPHTMLの一部の機能がAMP for Email上で実現できるようになっています。
AMP for Emailに期待できると
AMP for Emailによってメールを受け取る側の体験が大幅に向上すると期待されています。例えば出欠やアンケートへの回答を行う際に、外部のWebサイトに行くことなく、メール上で回答できるようになります。これは受け取り側の負担を減らし、回答率を引き上げる効果が期待できます。
また、カルーセルやアコーディオンによって、これまでになくダイナミックなコンテンツを実現できるようになります。受け取り側にとって新しい体験であり、目を引きつける効果が期待できます。
まとめ
現状、AMP for Emailに対応したメールクライアントは多くありません。GmailやYahoo! Mail(海外)、Outlookなどは多数のユーザがいますが、それ以外のユーザの方が多いでしょう。そのため効果は限定的な可能性があります。
とはいえ、今後AMP for Emailが広まっていく可能性は十分にあります。今のうちに情報を集め、効果的な作成法を学んでおくのは大事ではないでしょうか。